先日、友人のフラメンコの発表会を見に行って来た。

友人は、フラメンコを20年以上続けている。
恥ずかしながら、私も5年前までフラメンコを習っていて、
彼女と同じ教室にいたこともあった。
その当時から、彼女は教室の中で目立って上手かったけれど、
年月を重ね、以前よりも情感が増した踊りに、素直に感動した。

「上手い」という域を超えて、20年間の彼女の軌跡がそこにあるようで、
なんだか少しジーンとした。

そういえば、私も20代でフラメンコを始めたときに、自分を語る何かが
欲しくて始めたんだっけと、ふと思い出した。
今思うと大げさで、恥ずかしいけれど・・・・。

始めた頃は、楽しくで夢中になっていたけれど、そのうち踊りよりも
衣装に凝り始め、あるレベルまで踊れるようになったら、それ以上を
求めなくなっていた。
というより、これ以上は上手くなれないな・・・と諦めてしまった。
そして、10年続けて、ちょうど仕事が忙しくなったこともあり、
「プロになる訳じゃないし、趣味なんだから、このあたりで辞めてもいいかな」と、
自分に言い訳をして辞めてしまった。

そうだった・・・。
別に上手くなることが目的ではなかったんだよなぁ、と懐かしく思い出した。

今更ながら、「上手い」と言われているうちはまだまだなのだと気付いた。
どんなプロでも、プロに対して、誰も上手いという評価はしないだろうし、
そう褒められても、プロは嬉しくないだろう。

さて、今の自分の仕事はどうだろうか・・・と少し考えを巡らしながら、
いろいろと感じるものがあった。

一つの事を続けるのは、それだけで意味があるのだと思う。
途中で、何でやっているのかわからない時期があっても、続けていれば
きっと、人を感動させたり、自分を励ましたりする何かになる。

一緒に見に行った友人からは、「そう言えば、随分前にカスタネットの達人
になるって言ってたよ」とニヤッと笑顔で言われ、思い出した。
カスタネットが上手く叩けなくて、悔しくてそんなことを言っていた時期があった。
相変わらず、下手なままで終わってしまったけど、一生懸命に何かに夢中に
なっていた時期が懐かしく、なんだか新しいことを始めてみたい気持ちになった。

でも、暑いから秋になったらね・・・と言い訳をしながら。

シニアコンサルタント　秋葉正枝